社長のためのじょりじょりわかる!税理士ブログ

ややこしいことを、ややこしくなく

“なにもしない” ということをした(ちょっと哲学的)会社の場合、の巻

町田の税理士 高橋浩之 です。


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消費税がかかるのは、資産の譲渡・貸付、役務の提供

消費税がかかるのは、モノを売ったとき・貸したとき、なにかをしたときです。あらたまった席では、資産の譲渡・貸付、役務の提供という言い方をします。

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あなたは、ある会社との取引を目論(もくろ)んでいます。でも、まだ計画の段階。その会社に営業を仕掛けているわけではありません。ところが、地獄耳のA社長がそのことを聞きつけ、あなたの会社にやってきました。A社長とはかねてからの顔なじみです。A社長は、こう言います────その会社との取引は、我が社も命運をかけて取り組もうとしている。今回のところは、あきらめてくれないか。もちろん、相応のお礼はするから。

あなたは、その頼みを聞き入れ、その件からは手を引きました。いや、手を引いたというのは正確ではありません。要は、なにもしなかった。でも、そんなあなたの会社に、A社長はお礼を振り込んできました。

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*あなたは、なにもしなかった・・・

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さて、あなたのA社長がもらったそのお金、会社の収入になるのは当然として、消費税はかかるのでしょうか。

かからないような気がしますかね。あなたの会社は、なにもしていません。なにかをしたときに(役務を提供したときに)もらったお金にかかるのが消費税です。なにもしなかったあなたの会社に消費税はかからない! といいたいところですが────じつは、消費税はかかるのです。

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なぜなら、あなたの会社は、“なにもしない” ということをしたから。“なにもしない” からこそお金がもらえたわけで、いわれのないお金ではありません。やはり、そこには “なにもしない” という役務の提供があったとみるのが相当。

“なにも知らないことを知っている” みたいで、ちょっと哲学的ですね。

では、もし、ほんとうになにもしていなのに、突然どこかからお金が振り込まれてきたら・・・それは、いわれのないお金ですからさすがに消費税はかかりません(おそらくは誤入金。とりあえずは、収入にもせずに様子見ですね)。“なにもしていない” の意味がちがいます。