社長のためのじょりじょりわかる!税理士ブログ

ややこしいことを、ややこしくなく

よかれと思ってやったら奥さんの資産を増やし、でもお金は増えないので感謝はされず、税金はかかるという話、の巻

町田の税理士 高橋浩之 です。


会社が社長から借りている社長借入金。社長からすれば貸付金。将来、社長が亡くなったとき相続税がかかります。それがいやなら、社長借入金をなくすしかない。

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社長借入金をなくすのは簡単

社長借入金は、当の社長が放棄をすればすぐになくなります。その場合は会社に利益が発生するので、法人税がかかる。でも、利益が繰越欠損金の範囲内ならその心配なし。めでたし。めでたし。と思いきや───。

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放棄によって会社の純資産が増える

将来の相続税対策として、社長が貸付金を放棄しました。それは、会社にとっては借入金がなくなる話。借入金がなくなれば、会社の純資産なるものが増えます。純資産は過去からの利益の塊。これが増える。

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増えてもいいんじゃない? 欠損金で法人税はかからないんだから。こう思いますかね? そのとおり。利益が出ても欠損金があれば、税金はかからない。それは正しい。一方、利益が出れば純資産が増える。これもまた間違いのない事実(※)なんですね。

(※)もともと純資産がマイナスのときは、マイナスが少なくなるだけの場合はあります。

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それは贈与だ。贈与税だ!

社長の貸付金放棄によって、会社の純資産が増えます。純資産が誰のものかといえば、じつは、株主のもの。社長のものではありません。もし、株主が奥さんだったら・・・。

なんと、貸付金の放棄は、社長から奥さんへの贈与になってしまう。社長が放棄したことによって、奥さんのもの(=純資産)が増えるんですから。

理屈ではそうです。でも、奥さんの日常に変わりはなく、自分の資産が増えたなんて感覚はない(当たり前ですよね。目に見えるお金が増えたわけではありませんから)。もちろん、お陰で私の資産が増えたわ~。あなた、ありがとう! こうなる可能性はゼロ。
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*こうなる可能性はない。いや、その前に自分の資産が増えたなんてことに思いが至らないのがふつう、ですよね。

それでも、税金の世界では、一連のことは贈与とみなされるんですね。贈与には贈与税がつきもの。つまり、奥さんに贈与税がかかる!

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それは贈与だ! 贈与税だ!

そもそも、なんで社長は貸付金を放棄したんでしたっけ? そう、相続税を減らそうと思ったんですよね。つまり、よかれと思ってやったこと。ところが───それが、奥さんの資産を増やし、でも奥さんのお金は増えないので感謝はされず、税金はかかるということに。

社長。 あなたが会社へ貸しているお金を放棄することは簡単。それで、相続財産は減ります。でも、それだけじゃなく、他の税金のことも十分検討した上での実行を!


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