社長のためのじょりじょりわかる!税理士ブログ

ややこしいことを、ややこしくなく

いまの時期、店頭でよく見かける張り紙についての一考察、の巻

町田の税理士 高橋浩之 です。


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毎年いまの時期にお店でよく見かける張り紙があります。いわく。「〇月〇日は、棚卸*1につき臨時休業させていただきます(あるいは、〇〇時までの時短営業とさせていただきます)」。小売業の会社は2月の決算が多い。よって、決算における大切な手続きである棚卸も、いまの時期に行われることが多いのです。

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朝、りんごが1つ。昼に4つ買ってきて、夜寝る前にみてみたら2つ残っていました。夜、りんごの数を確認したのが棚卸です。そして、それによってわかるのは────減った数。

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*棚卸のようす。これで減った数がわかる。

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本来、減った数を知るのはたいへんです。四六時中りんごを見張っていなければならない。あなた以外のだれかが食べるかもしれませんから。見張りつつ、あなたやだれかが食べるたびにその数をメモしておく。面倒くさいし、時間もとられる*2。でも、こうでもしなければ、減った数はわからな・・・・・くない。そうだ。残っている数を数えればいいじゃないか。

減った数は、もともとあった数(1つ)に増えた数(買ってきた4つ)を足して、残っている数(夜の2つ)を引けばわかります。つまり、減った数(3つ)は、棚卸でわかる! 1日中見張っている必要はないんだ!

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*棚卸をすれば、見張っていなくてもだいじょうぶ。

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お店の棚卸もこれとおなじです。商品の減った数──お店の場合は売れた数*3──を追うのには限度がある。でも、棚卸をすればわかります。減った数がわかれば、減ったものの金額*4がわかる。減ったものの金額とは、すわなわち、売れたものの原価。原価がわかれば、利益が計算できます。つまり、お店が行う棚卸は、利益を計算するための大切な手続きだったのです。*5


*1:*棚卸
残っている商品(=在庫)を数える作業のこと。

*2:*面倒くさいし、時間も取られる
4つや5つのりんごならまだいいです。これが数百個のアメ玉だったら・・・時間をとられたうえに、もう何が何だかわからなくなる。

*3:*お店の場合は売れた数
理想は、減った数=(イコール)売れた数。でも、現実には商品が減るのは売れただけではありません。期限切れで廃棄した。あるいは万引き。こんな理由でも減ります。棚卸でわかるのはそのようなことも一緒くたにしての減った数です。売れた以外の理由で減った数は、別に管理しなければわかりません。

*4:*減ったものの金額
もともとあった在庫の金額(これはわかっている)+あたらしく仕入れた商品の金額(これも当然わかる)-在庫の金額(棚卸でわかった在庫の数×それを買ったときの値段)

*5:*棚卸は、利益を計算するための大切な手続き
棚卸には、それ以外の目的もあります。必要だけど持ち過ぎの在庫はないか。いらない在庫がないか。あるいは売れ筋商品の情報をつかむなど商品管理の意味でも大切です。