社長のためのじょりじょりわかる!税理士ブログ

ややこしいことを、ややこしくなく

医療費控除は10万円? の巻

町田の税理士 高橋浩之 です。


間もなく所得税の確定申告の時期がやってきます。2021年分(令和3年分)は、2022年2月16日から3月15日までがその期間です。

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医療費控除は10万円?

「医療費控除は10万円」。よく耳にしますよね。年間の医療費が10万円ないと、医療控除は受けられない。もう少しで10万円超えたのに・・・・・。こんな嘆きの声を聞くこともしばしばあります。これを称して「医療費控除は10万円」というわけです(これから、医療費控除のために超えなければならないカベを「足切り額」と呼びましょう)。

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*超えなければならないカベ(=足切り額)は10万円?


じつは、足切り額は(収入が給与だけの人は)年収によって決まります。年収に基準があって、それに満たない年収の人の足切り額は10万円よりも少なくなるのです。その基準は、およそ300万円*1。つまり、年収が300万円に満たない人の超えなければならないカベは、10万円より少なくなる。みんながみんな「医療費控除は10万円」ではなかった!*2


医療費控除は、いっしょに住んでいる家族から代表してだれかひとりが控除を受けることができます。ということは────家族の医療費全部で10万円なかった。せっせとせっせと領収書を集めてきたけれど、医療費控除はあきらめるしかないな・・・ではなく、だれか年収300万円未満の人がいないか確認しましょう。いれば、その人の足切り額と医療費を比較。足切り額を超えていたら医療費控除が受けられます*3

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*超えなければならないカベは10万円とは限らない


医療費控除、あきらめるその前に。ぜひご検討を。


*1:*ただしくは、297万2千円

*2:300万円以上であれば、年収がいくらであろうと足切り額は一律10万円に固定されます(年収300万円の人も1億円の人も10万円です)。これが「医療費控除は10万円」といわれる所以です。

*3:医療費控除の控除額がいっしょでも、還付される所得税は年収によってちがいます。年収の多い人は多く還付され、少ない人は少ない還付金。したがって、このケースでの還付金は、期待するほどのものではないかもしれません。