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娘は、父母どちらの扶養親族とすべきか?(現代版:大岡政談)の巻

町田の税理士 高橋浩之 です。


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娘は、父母どちらの扶養親族とすべきか?

たとえば、ひとつ屋根の下で暮らす(税金の世界ではこのような状況を “同一生計” といいます)この家族の場合。

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父は、自分の税金の計算をするときに娘を扶養親族とすることができます。母も自らの税金の計算上、娘を扶養親族とすることが可能です。ということは───この父母は、それぞれ娘を扶養親族とすることができる?

娘を父母の両方が扶養親族とすることはできません。ひとりに対して扶養親族にして税金の控除を受けられるのは、ひとりだけ。さすがに、だれかを複数の人が扶養親族とすることはNGというわけです。では、どちらの扶養親族とするのがいいのでしょうか?

■ 大岡政談■ 子争いの巻

ある夫婦がもめていました。扶養親族についてです。ふたりには娘がいます。娘を夫婦どちららの扶養親族とするか。話し合いでは埒が明かず、ふたりは名奉行、大岡越前の奉行所で決着をつけることに・・・

名奉行は言いました。「それぞれ娘の手を取って、綱引きのように娘の腕を引っ張りなさい。娘は勝った方の扶養親族だ」

ふたりは二手に分かれて腕を引っ張りました。ぐいぐい、ぐいぐい、ぐ~い、ぐい。でも、力いっぱい引っ張られた娘はたまりせん。大声で泣き叫びました。「いたい、いたい、痛い。やめてよ、やめてよ、やめておくれよ」

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そんな娘の様子を見て可哀そうになった母は、思わず手を放しました。娘は父のもとへ。「うっひょ~い、おれの扶養親族だ!」父が扶養控除等申告書に娘の名前を書き込もうとしたその時です。奉行所に名奉行の声が響きました。「あいや、待たれい! 娘は、そなたの扶養親族ではない!」

驚く父。静まり返る奉行所。名奉行は、皆の視線を感じながら、どや顔でこう言いました。「その娘は母の扶養親族だ。 親なら、扶養親族が痛いと叫んでいる行為をどうして続けられようか────これにて一件らくちゃぁ~く!」(後半へつづく)

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所得の多いほうの扶養親族とするのが有利

父母どちらの扶養親族にするかは、奉行所に訴え出るまでもなく、所得の多いほうの扶養親族にするのがふつうです。同じ控除額でも、所得の多いほうが減税効果が大きい。よって、世帯全体の実入りのためには、所得の多いほうの扶養親族とするのが有利なのです。

一度決めたら、ず~~と同じである必要はありません。たとえば、一度父の扶養親族としたとしても、それを毎年毎年つづけなくてもOK。今年は父、来年は母というのはかまわないんですね。要は、同じ年にダブって扶養親族にしなければ大丈夫です。

これにて一件落着!

(前半より)「────これにて一件らくちゃぁ~く!」こう言い放つと、名奉行は、なぜか片肌を脱ぎ始めました。で、ひと言。どう? この彫り物。色落ちし始めたから、最近入れ直したんだ。鮮やかなピンクになったでしょ。
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いや、どう? と言われても・・・戸惑う父。でも、まてよ? 桜吹雪の彫り物といえば・・・
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こう指摘されると、名奉行はそそくさと帰り支度を始めましたとさ。
(おしまい)




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