社長のためのじょりじょりわかる!税理士ブログ

ややこしいことを、ややこしくなく

「社長の知り合いかい? 安くしとくよ」でダブルの課税、の巻

◆前回のあらすじ◆
会社が、社長の知り合いに土地を売った。価格は30円。でも、その土地の相場(いわゆる時価)は100円だ。つまり、会社は社長の知り合いに時価よりグッと低い価格で売ったことになる。なんと、このケース、意外なことに "会社が社長の知り合いに寄付" をしたことになるのであった。

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法人税では時価取引が原則

なぜ、寄付になるのか?

法人税の世界では取引は "時価で" が原則です。それに当てはめると───会社はいったん時価100円で売った。でも実際にもらったのは30円。差額の70円はどこにいったかというと・・・社長の知り合いにあげた。───とこんな考え方をします。あげたんだから、その70円は寄付金になるというわけ。

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素直じゃない。わざわざややこしく考えてるだけじゃないか。こう言いたくなりますけど、これが法人税での考え方なんですね。

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寄付金には法人税がかかる

多少考え方に素直さがないのは我慢するとして(?)、法人税では寄付になるのはわかりました。でも、寄付になったっていいですよね。寄付金は経費のはず。よって利益を少なくし、結果法人税も減るからノープロブレム・・・と、じつはこうはいきません。

寄付金は、会計の世界では経費です。でも、それが税金の世界にやってくると、経費にできる枠ができてしまう。枠ができて、その枠を飛び出した金額は経費(ただしくは損金)にならなくなるんですね。枠は、とても小さい。つまり、多くの場合、寄付金には法人税がかかるというわけです。

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社長の知り合いには所得税がかかる

以上は売った会社のお話。寄付をしてもらったことになる社長の知り合いはどうなるでしょう?

社長の知り合いは100円の土地を30円で買えて、トクをしました。そのトクに税金がかかります。かかる税金は所得税。ということで、会社に税金がかかり、社長の知り合いにも税金がかかり・・・ダブルの課税です。時価での取引を心がければそんなこともなかったものを。

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身近な相手と取引をするときは、"時価で" をお忘れなく(とくに高額取引の場合)。



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