社長のためのじょりじょりわかる!税理士ブログ

ややこしいことを、ややこしくなく

私は、かつて衝撃の申告書を見た! の巻

町田の税理士 高橋浩之 です。


人は思わぬカン違いをすることがある。ときに、そりゃないだろうというようなことも・・・

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私は、かつて衝撃の申告書を見た!

2017年(平成29年)分の所得税の確定申告が終わりました。確定申告は、とっつきにくい。どちらかというとカン違いや間違いをしやすいものかもしれません。特に、初めての人にとっては。

かつて、初めて確定申告をする人が作成した、衝撃の申告書を見たことがあります。その衝撃の申告書とは?

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 *衝撃にもいろいろあるが・・・

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個人事業で赤字。税金は支払いも戻りもないはずが・・・

個人事業を営んでいて赤字が出た。売上より経費が多かったということですね。態勢を立て直して、今後はそんなことのないよう頑張る。それは当然として、赤字だったと確定申告をしなければなりません。

仮に、売上が80、経費が100だったとします。差引き▲20。赤字です。赤字なので、税金はゼロ。支払いもなければ戻りもない。申告書にもそのように書きます。でも、某初めて氏の書いた申告書では───

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赤字分の損失補てんを国に請求した(?)

所得金額欄に▲20と書いてあります。それはOK。でも、その▲20がその後も要所要所に顔を出しているんですね。つぎにその▲20が書いてある場所は、なんと、税額欄。赤字20がそのままマイナス20の税金になっちゃった。マイナスの税金は還付。当然の流れとして、さらにつぎに20が書いてある場所は、「還付される税金欄」です。

つまりどういうことでしょう? 個人事業の赤字20が、赤字にとどまらず、還付される税金に化けた。自らの事業の赤字分を国に還付請求したわけで、赤字の損失補てんを国に求めたことになっちゃうじゃないか! なんと大胆な。

某初めて氏も、よくよく考えてみれば、それはおかしいとおもうでしょう。でもそのときは初めての確定申告で、ついつい筆がすべっちゃったというところかな。

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赤字の正しい処理方法
所得税の世界のお約束として、▲20はほかに所得があればそれと通算します。それでも、まだ赤字が残るような場合、青色申告であれば、残りの赤字を翌年に繰り越す。こんな取り扱いになっています。

そんな衝撃の申告書、赤字の損失補てんの申告書を税務署はどう処理するんでしょうかね? もちろん、そのまま還付することは絶対にない。これは断言できます(たとえ、還付金の振込先口座の記載があっても)。



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