社長のためのじょりじょりわかる!税理士ブログ

ややこしいことを、ややこしくなく

悩ましい「同時に」の巻

町田の税理士 高橋浩之 です。


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還付請求書は、申告書と同時に出す必要がある

法人税に「欠損金の繰戻しによる還付」なる制度があります。赤字が出た場合、ふつうはその赤字は将来に持っていき(繰り越し)、将来の利益と相殺します。繰戻しはその逆。赤字を過去に持っていく。持っていった赤字は過去の利益と相殺し、すでに納付した税金を戻してもらう。こんな制度です。

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*「いざ、出発! 過去にもどって税金と取りもどせ!」
ただし、もどれるのは1年のみ。


この制度で税金をもどしてもらうためには、申告書とは別に「還付請求書」を税務署に出さなければなりません。申告書と同時にです。

んっ? 同時に? そう同時に。法律にそう書いてあります。

* * *

「同時に」というと、ふつうの感覚でいえば「いっしょに」。ということは、税務署の窓口で、申告書と還付請求書を並べて、いっしょに、いっせいのせと出さなければいけないのだろうか。たとえば、3月決算法人で、申告書は5月31日の午前中に出して、還付請求書はその日の午後に出したらアウトなんだろうか。*1

まあ、とはいえ、ふつうは、書類はいっしょに持っていくでしょうから「同時に」かどうか問題になることはないかもしれません。・・・紙の申告書なら。

* * *

そう、紙の申告書なら。では、電子申告のときは?

電子申告では、ふたつのデータを同時に送信することは不可能(当たり前)。数十秒か数分か、かならず時間差は出ます。つまり、「同時に」は出せない(へ理屈?)。ただ、何度かこの制度を電子申告で対応したけれど「送信時間に微妙なちがいがある。同時じゃないからダメ」。こんなこと言われたことはないのも事実(当たり前?)。

ようするに、あまり、気にしなくていいということですかね。

*1:3月決算法人の申告期限は、5月31日。つまりどちらも期限内なのでOKのような気がする。とすれば、なぜわざわざ「同時に」と書いたのか。