社長のためのじょりじょりわかる!税理士ブログ

ややこしいことを、ややこしくなく

結局のところ、背景を知らなければ正しく判断できない、の巻

町田の税理士 高橋浩之 です。


たとえば、夫婦だけの会社。会社にはほかに誰もいません。そんな会社が社員旅行に行きました。一見フルムーン旅行にもみえるその旅行の代金は、会社の経費になるか?

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「じゃあ、うちの会社も、ひとつフルムーン旅行を・・・」

もちろん「夫婦だけの会社は、社員旅行は一切認めない」なんて決まりはありません。

経費になるかどうかは、さまざまな要素を勘案して総合的に判断することになります。その結果、税務調査でも経費でOKとなったとしましょう。社長は仲間の社長に話します。「おれとうちのヤツの旅行、税務署も認めてくれたよ」うむ、そうか。そうなのね。夫婦だけの旅行だって経費になるんだ。じゃあ、うちの会社も、ひとつフルムーン旅行を・・・

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*その提案、ちょっと待った!

いやいやいや、ちょっと待った。結果だけで判断してはいけません。

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背景を知らなければ正しく判断できない

その会社のフルムーン旅行が、もとい、社員旅行が経費と認められたのは───どこに行って何をしたか。過去の実績や旅行をするに至った経緯。時期。使ったお金の額。会社の収益の状況。社長の哲学・ものの考え方(←意外にもこれが大きなウェイトを占めるかもしれない)───そんなあれこれを総合的に判断しての結果です。

そんな背景を知らずして、フルムーン風社員旅行が認められたという結果だけで、言い換えれば、表面的な形式だけでうちのフルムーン旅行も経費になる。こう考えて実行したとしても・・・あなたの会社で経費と認められるとは限りません。なぜなら背景が違うから。どんな背景があるかによって結果は変わってくるのです。

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*じゃあ、つぎのケースは? 夫婦じゃないぞ。

女性社員を狙っている社長、一計を案じ───、
社長「社員旅行を企画したんだけど・・・これ行程表」
女性社員「え~、社員旅行って。うちの会社、社長と私のふたりだけじゃないですか~。しかも、海外⁉ 現地で4泊5日⁉*1
社長「ちょっとハネムーン風で企画・・・いやいや、違う違う! 落ち着いて落ち着いて。ふだんは忙しくて会社の業務についてゆっくり話し合う時間もないだろ? 旅行でもして見識を広めつつ、会社の今後について話し合おうよ。そのための社員旅行だから。あくまで」

で、結局こうなった ↓

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この旅行にかかった費用は会社の経費でOKだろうか? 背景はかなり怪しいぞ。




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*1:社員旅行が経費となる条件
1.参加率が50%以上であること
2.日程が4泊5日以内であること(海外の場合は現地での日数)