社長のためのじょりじょりわかる!税理士ブログ

ややこしいことを、ややこしくなく

名義は息子であっても、お爺さんのものはお爺さんのもの、の巻

町田市の税理士 高橋浩之 です。



あるところにお爺さんとお婆さんがいました。
ふたりは、お爺さんが亡くなった後の相続税のことを心配していました。

あるとき、お爺さんが言いました。
「息子に預金を生前贈与しよう。贈与税がかからない金額なら息子も喜ぶし、将来の相続税も節税になる」
「それはいいですね。ぜひそうしてくださいな」

こうしてお爺さんは、毎年、贈与税のかからない110万円を息子に贈与することにしました。



それを知ったとなりの欲深か爺さん。
「ほう、そんな方法があるのか」
「よし、わしも息子名義の通帳に、毎年110万円のおカネを移しておこう。これで贈与になるわい」
「息子には内緒だ。知らせたらドンドン使っちゃうからな。キャッシュカードも印鑑もわしが持とう」
「わしのへそくりだな」
「でも、息子名義だからわしが死んでも相続税もかからない。いいことだらけだわい」

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*息子名義の預金におカネを移して、満足げなお爺さん



さて、
歳月が流れ、欲深か爺さんが亡くなりました。
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いまは、欲深か爺さんの相続税の税務調査が行われています。


ひととおり調査が終わったところで、税務署のひとが、息子に言いました。

「この預金は、お爺さんの財産には含めていませんね」
「名義は確かに息子さん、あなたです。でも、あなたは、この預金のことをよくご存じじゃない。キャッシュカードや印鑑の管理をしていたのもお爺さんのようですね。」
「そうなると、名義に関係なく、この預金は実際はお爺さんの財産として・・・

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*(左)お婆さん、(中)息子、(右)天国のお爺さん


名義預金にご注意を!
その預金を相続税の申告に含めるか、含めないか?
名義だけで判断してはなりません。その預金が実質的にだれのものか、によって判断します。
うえにあるように、名義は息子のものだけど、実際に管理していたのはお爺さん。
こんなときは、名義にかかわらずお爺さんの財産として相続税の申告に含める必要があるのです。

このような預金を名義預金といいます。
名義預金は、税務署が特に目を光らせるところですので、十分のご注意を!

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