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脱税工作人A氏への手数料は経費になるか、の巻

町田の税理士 高橋浩之 です。


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脱税工作人氏への手数料は経費になるか

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あなたは、脱税工作人A氏に脱税工作を依頼し、ウソの領収書を手に入れました。うむ。これで税金が少なくなるわい。満足したあなたは、ある約束を思い出します。そうそう、脱税工作人A氏に手数料を払わなくちゃね。あなたは約束していた手数料を支払い、律儀にも領収書をもらました。こちらの領収書は、正真正銘の領収書です。

ではここで問題。脱税工作人A氏に支払った手数料は、経費になるんでしょうか。

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その手数料には、もとになった事実がある

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脱税工作人A氏につくってもらったウソの領収書は、もちろん経費になりません。なるはずがない。当たり前ですね。

一方、脱税工作人A氏に対する手数料は・・・その手数料には裏付けがあります。

まず、あなたは脱税工作人A氏に脱税工作を依頼し、脱税工作人A氏はそれを受諾しました。契約の成立です。つぎに、あなたは脱税工作人A氏から脱税工作という役務の提供──成果物としてウソの領収書の引き渡し──を受けました。脱税工作人A氏の任務は完了し、その仕事に満足したあなたは、手数料を支払った。非の打ちどころのない展開です。さらに、その金額は独立した事業者同士の、需要と供給の中で成立した適正な価格だったとしましょう。

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経費にして、まったく問題なさそうな気がします。もとになった事実があるわけですから。消費税では仕入税額控除しても問題ないとさえ思えます。でも、倫理的には??

さて、あなたはどう思いますか。脱税工作人A氏に支払った手数料、経費になると思いますか。それとも・・・

この問題については、じつはすでに最高裁において答えが出ています。答えは “ならない”。理由は───ウソの領収書による処理は、公正妥当な会計処理じゃないからダメなのは当然として、公正妥当な会計処理にならない処理のための費用もまた、それを経費にすることは公正妥当な会計処理とはいえないから、経費にならない。・・・うむ。ちょっとなに言っているのかよくわからない。




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