社長のためのじょりじょりわかる!税理士ブログ

ややこしいことを、ややこしくなく

外国関係会社の利益を合算する。その名は“タックスヘイブン対策税制” の巻

町田の税理士 高橋浩之 です。


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某自動車メーカーがタックスヘイブン税制で指摘を受けた!

某自動車メーカーが「200億円申告漏れ」との新聞報道がありました。外国関係会社に関する、ある税制をめぐって、国税当局から指摘を受けたようです。

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その税制の名は“外国子会社合算税制” 通称、“タックスヘイブン対策税制”。タックスヘイブンにある関係会社に利益を集めて、税金をすくなくすることを封じる制度です。

タックスヘイブンとは、日本に比べて法人税率が低い国のこと。まれにカン違いしている人がいますが・・・ヘブン(天国)ではありません。“イ”が入って“ヘイブン”。税金がすくないなんて、天国じゃん、楽園じゃん。こういうことではなく、ヘイブン=避難所。転じて、タックスヘイブン=租税回避地という意味なのです。

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タックスヘイブン対策税制では関係会社利益を合算する

この税制の適用があるとどうなるか。外国関係会社の利益が、日本の親会社の利益に取り込まれます。取り込まれたうえで(つまり合計されたうえで)合計額に対して日本の税金がかかる。関係会社とはいえ、他の会社の利益に対する税金までも親会社が負担しなければならなくなる・・・

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*外国関係会社の利益を、はるばる海を渡って合算。それに対して日本の法人税がかかる!

報道によると、バミューダ諸島にある外国関係会社が問題になっているようです。・・・バミューダ諸島ねえ。いかにも怪しい。バミューダ諸島なんて租税回避案件でよく登場する怪しい香りのプンプンする(失礼!)場所じゃないか。とこうも思いますが───

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“経済活動基準”を満たしているか、が大切

じつは、いまのタックスヘイブン対策税制では、場所は二の次なんですね。まず、気にしなければならないのは、“経済活動基準”なるものを満たしているか。外国関係会社がちゃんと現地で実体のある活動をしていて、自分のことは自分でしていて、かつ、親会社以外とも取引をしていること。これが“経済活動基準”です。“経済活動基準”を満たせば、関係会社の利益は取り込まれることはありません(ただし一部例外あり)。

某自動車メーカーは“経済実体基準”は満たしているとして、国税当局と争う姿勢のようです。

*それにしても「200億円申告漏れ」なんて見出しは、企業にとってマイナスイメージでしかないですよね。会社がなにかよからぬことをしたように思われてしまう。でも、見出しとしては仕方ないか。「200億円所得が少ないと指摘を受けた」じゃ長すぎる。会社が争う姿勢なので、今後の展開次第では課税が取り消されることもあり得ます。念のため。



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