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ややこしいことを、ややこしくなく

~走れメロス~今日中にこの申告書を提出するために、の巻

町田市の税理士 高橋浩之 です。



~走れメロス~今日中にこの申告書を提出するために


メロスは決意した。
今日中に必ず、この申告書を税務署に提出するのだと決意した。今日は申告書の提出期限なのだ。

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 *「この申告書は、今日中に提出しなくちゃ!」


メロスは走った。

路行く人を押しのけ、跳はねとばし、メロスは黒い風のように走った。
野原で酒宴の、その宴席のまっただ中を駈け抜け、酒宴の人たちを仰天させ、犬を蹴けとばし、小川を飛び越え、少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く走った。

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一団の旅人とさっとすれちがった瞬間、不吉な会話を小耳にはさんだ。「5時を過ぎた。税務署もいまごろは窓口を閉めているよ」


メロスは疾風の如く税務署に突入・・・できなかった。
税務署は閉まっていたのだ。

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 *「ああ、これでこの申告書は期限後申告だ!」

メロスは口惜しく、地団駄を踏んだ。


その様子を見ていた親友のセリヌンティウスは、すべてを察した様子でうなずき、音高くメロスの右頬を殴った。

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殴ってから優しく微笑み、
「メロス、きみはそこの時間外収受箱にその申告書を投函すればよい。それで窓口に提出したのと同じになる。そうでなけば私は君と抱擁できない。」

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 *「イタタタタ、時間外収受箱に投函すればいいよ」


メロスは腕に唸うなりをつけてセリヌンティウスの頬を殴った。
「ありがとう、友よ。」二人同時に言い、ひしと抱き合い、それから嬉し泣きにおいおい声を放って泣いた。

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暴君ディオニスは、群衆の背後から二人の様を、まじまじと見つめていたが、やがて静かに二人に近づき、顔をあからめて、こう言った。

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どっと群衆の間に、歓声が起った。
「万歳、王様万歳」

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メロスはまごついた。

佳き友は、気をきかせて教えてやった。
「メロス、君は、まっぱだかじゃないか。早くそのマントを着るがいい。この可愛い娘さんはメロスに露出趣味があることがたまらなく口惜しいのだ」


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(問い)
この作品で、作者がいちばん伝えたかったことは何か?
つぎの中から選びなさい。

1.一生懸命の努力は報われる。
2.税務署には、時間外収受箱がある。
3.メロスにはちょっと変わった趣味がある。
4.がんばって走れば王様と仲良しになれる。
5.今日の宴会、メロスは顔だけ出して、すぐ中座した。参加費はもらうべきだろうか?



(答え)
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