<走れメロス>本則課税の会社は、増税前の駆け込みの必要なし、の巻
町田市の税理士 高橋浩之 です。
■本則課税の会社は、増税前の駆け込みの必要は、ない?!
メロスは、決意した。
必ず、今日、買うのだと、決意した。
今日は、平成26年3月31日である。
明日から、消費税率が8%にアップする。
明日になってしまえば、3%余計に払わなければならない。
メロスには、政治はわからぬ。
だが、今日中に買うのが得だ。そのことは、わかる。
お店の人だって、こう言っているではないか。
*メロス「!そりゃそうだ。4月1日から消費税が8%になるんだからな」
メロスは走った。
路行く人を押しのけ、跳はねとばし、メロスは黒い風のように走った。
懇親会の参加者たちを仰天させ、犬を蹴けとばし、小川を飛び越え、少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く走った。
*走れメロス! 消費税率5%で買うために!
陽は、ゆらゆら地平線に没し、まさに最後の一片の残光も、消えようとしたとき、メロスは疾風のごとくそのお店に突入した・・・
■税率アップ前に買った方が、支払いは少ない 平成26年4月1日から消費税率が5%から8%にアップします。 何かを買うのであれば、3月31日までに買った方が、支払いは少ない。当たり前です。 だから、誰だって税率アップ前に買った方が、得、ですよね? |
「セリヌンティウス」
メロスは、目に涙を浮かべて言った。
「セリヌンティウス。わたしは、今日、これを手に入れたぞ! 8%になる前に。5%の消費税で手に入れたのだ!」
親友のセリヌンティウスは、すべてを察した様子でうなずき、音高くメロスの右ほほを殴った。
殴ってから優しく微笑み、
「メロス、きみの会社は本則課税だ。本則課税の会社は、あわてて税率アップ前に買う必要はないのだ」
*メロス「痛い痛い、なにするんだ?セリヌンティウス」
■本則課税の会社は消費税で損も得もしない 本則課税の会社は、得意先から預かった消費税から会社が負担した消費税を差し引いた残りを税務署に納めます。 3%多く支払えば、その分は税務署に納める消費税から差し引きます。 したがって、本則課税の会社は、税率が上がろうが下がろうが、損も得もしないのです |
暴君ディオニスは、群衆の背後からふたりの様を、まじまじと見つめていたが、やがて静かにふたりに近づき、顔をあからめて、こう言った。
「メロス、お前の会社は、消費税で損も得もしない。今日買っても、明日買っても、会社から出ていくお金は一緒なのだ。税率の違いによって損も得もしないのだぞ。お前の走りは、ムダだった」
*メロス、ショックのあまり買ったものを落としてしまう
■税率アップ前でも後でも、会社から出ていくおカネは同じ 本則課税では、多くの消費税を負担すれば、税務署に支払う消費税が少なくなります。 逆に、少しの消費税しか負担していなければ、税務署に支払う消費税は多くなります。 5%で買えたものを、日付の関係で8%で買ったときは、その分税務署への納税額は少なくなります。 相手のお店か税務署か。どちらに払うかの違いだけで、会社から出ていくお金は一緒なのです。 *メロスの会社は、本則課税。 今期の税込み売上は¥210(預かった消費税¥10) |
■税率アップに踊らされることのないように 本則課税の会社は、税率が何%であろうと、消費税によって損も得もしないことがわかりました。 「3月31日までに買うのが得でっせ!」こんな言葉に踊らされて、不用なものなどをあわてて買うことのないよう、気をつけたいですね! *ただし、これは本則課税の会社に限ってのことですので、ご注意を。 |
ひとりの少女が、それをメロスに捧げた。
*ひとりの少女
メロスは、まごついた。
佳き友は、気をきかせて教えてやった。
「メロス、きみが買ったのは、接待で使う熟女パブの回数券じゃないか。早くその回数券を返品するがいい。この可愛い娘さんは、メロスが熟女パブに行くことが、たまらなく口惜しいのだ」
*佳き友セリヌンティウス
勇者はひどく赤面した。
*勇者メロス
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