社長のためのじょりじょりわかる!税理士ブログ

ややこしいことを、ややこしくなく

税金の分捕り合戦は激化の予感、の巻

町田の税理士 高橋浩之 です。


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消費税の一部は地方へ配分されることがきまっている!

「タバコは地元で買いましょう」こんな標語を見かけたことありませんか? その理由→地方タバコ税の仕組みでは、タバコを多く売った小売店のある地方自治体の税収が増えるようになっているから。

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同じような仕組みで、もっと大がかりなものに消費税があります。消費税の税率は8%だとおもっていますよね。でも、ちがう。じつは6.3%。この6.3%の消費税は国の取り分です。では、のこりの1.7%はなにかというと、正体は地方消費税という別の税金。地方消費税は、各地方自治体に配分されることがハナから決まっている税金なんです。

キチンとした本には、いわゆる消費税のことを消費税とは書いていません。消費税等と書いてあるんですね。消費税等の〝等〟は、もちろん消費税と地方消費税のこと。ふたつ合わせての〝等〟なのです。

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「買い物は県内で!」キャンペーン始めました

地方消費税は、各地方自治体へ配分されることが約束されている。その配分基準は、その自治体での小売り売上高の統計数値のウエイトが大きな比率を占めます。つまり、商品やサービスを多く売った小売店のある地方自治体の税収が増えるようになっている! どこかで読んだ文章だね。タバコ税と同じだ!

そのわりに、「商品は地元で買いましょう」なんて標語見ないなあ。こうおもっていたところ、なんと奈良県が「買い物は県内で!」キャンペーンをしていました。奈良県民は、多くは大阪、京都で買い物をするらしい。すると、「越県購入」でその分に相当する地方消費税が、奈良県に入らず、近郊大都市の大阪、京都に奪われてしまっている! その額およそ70億円! キャンペーンしたくなる気持ち、わかります。

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 *男「そこから先は、隣県だよ」

ふるさと納税では、大都市の首長が税収を奪われているとして、返礼品合戦を批判しました。その一方、地方消費税では、大都市に税収が流れている(地方にしては奪われているという感覚?)という現実がある。

ふるさと納税への批判にしても、買い物は県内キャンペーンにしても、要するに税金の分捕り合戦。税収は右肩上がりとはいかないとすると、今後はますます激化する予感です。なにかいい知恵はないのか。ねえねえどうにかならない? えらい人!



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