<走れメロス>簡易届出、年度末が土日祭日のときは注意! の巻
町田市の税理士 高橋浩之 です。
■簡易届出、年度末が土日祭日のときは注意!
メロスは超あせった。
必ず、この届出書を今日中に税務署へ提出すると決意した。
届出書は、「消費税簡易課税制度選択届出書」である。
その届出書は年度末までに出さねばならぬ。
つまり、昨日までである。だが、昨日は日曜日であった。
ふつう、申告書の提出期限が日曜日ならば、翌月曜日に提出すればよい。
それゆえ、この届出書もまた、今日すなわち月曜日に提出すればよいはずなのだ。
*年度末が日曜日なので、今日、提出すればよいはずだ
「今日中にかならず提出する! そうすれば、今期から簡易課税だ!」
メロスは走った。
死力を尽して、メロスは走った。
メロスの考えることはただひとつ。簡易課税にしてトクしたい、わが社は圧倒的に簡易課税がトクなのだ。
その思いだけにひきずられて走った。
*走れメロス、自分の会社のために
陽は、ゆらゆら地平線に没し、まさに最後の一片の残光も、消えようとしたとき、メロスは疾風のごとく税務署に突入した。
間に合った。
「わたしだ。メロスだ。消費税簡易課税制度選択届出書を持ってきた」
*人々「あっぱれ! 今期は簡易課税だ!」
人々はどよめき、あっぱれ。今期は簡易課税だ。と口々にわめいた。
ところが、
その届出書を覗いた親友のセリヌンティウスは、すべてを察した様子でうなずき、税務署の執務室一ぱいに鳴り響くほど音高くメロスの右頬を殴った。
殴ってから優しくほほえみ、
「メロス、今期、きみの会社は簡易課税にならない。その届出は先週の金曜日までに出すべきであった。つまり、今日では遅かったのだ。きみは、あいからわずおっちょこちょいだな」
*親友セリヌンティウス
暴君ディオニスは、群衆の背後から二人の様を、まじまじと見つめていたが、やがて静かに二人に近づき、顔をあからめて、こう言った。
「メロス、おまえの望みは叶わなかったぞ。簡易課税は届出書を出した日の翌事業年度から適用になるのだ。おまえはおっちょこちょいな奴だ」
*暴君ディオニス
■簡易課税の届出、月末が土日祭日のときはご注意を! 簡易課税は届出書を提出した日の属する年度の翌事業年度から適用になります。つまり、届出書は、前年度中に提出する必要があるのです。 年度末が土日祭日のときは、注意がいります。 休み明けのウィークデーはもう新事業年度です。 前年度中にということは、休み前のウィークデーまでに提出しておかなければならないのです。 他の申告書のように、期限が延びることはありませんので、ご注意を! |
ひとりの少女が、その届出書をメロスに捧げた。メロスはまごついた。佳き友は気をきかせて教えてやった。
「メロス、裏面の記載要領をよく読まなきゃダメじゃないか。早くその届出書をしまうがいい。この可愛い娘さんはメロスがおっちょこちょいなのがたまらなく悔しいのだ」
勇者はひどく赤面した。
■届出書裏面の抜粋
<消費税簡易課税制度選択届出書の記載要領等> 2 提出時期等 この届出書の効力は、提出した日の属する課税期間の翌課税期間から生じます。したがって、簡易課税制度の適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに提出しなければならないことになります。 |
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