社長のためのじょりじょりわかる!税理士ブログ

ややこしいことを、ややこしくなく

アメリカに1週間出張すると、日米両国の税金がかかる(?)の巻

町田の税理士 高橋浩之 です。


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海外出張すると、両方の国で税金がかかる(?)

日本の会社に勤めているあなたは、1週間アメリカ支店に出張しました。その間の勤務地はアメリカ。つまり、あなたは、1週間アメリカで働いたことになります(当たり前ですね)。

帰国してホッとしたのも束の間、あなたになんと! ダブルの税金が襲いかかります。日本に住んでいるあなたに日本の税金がかかるのは当たり前。ところが、それに加えて、アメリカで働いた1週間分の収入に対して、アメリカも税金を納付せよとの通知を送ってきたのです。

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*なんと、アメリカ勤務1週間分の収入には、日米両国で税金がかかる⁉
これはいわゆるひとつの二重課税じゃないか。


そんな理不尽なことがあるのでしょうか。このケースについては、じつはつぎのような課税ルールがあるのです。

●日本人(正しくは日本に住んでいる人)に対しては、アメリカで働いて得た収入にも日本の税金がかかる。

●アメリカには、アメリカで働いて得た収入に対して税金をかける権利がある。たとえその人が日本人であっても。

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アメリカに税金を納付する必要なし

へえ、そうなんだ。そんなルールがあるんだ。仕方ないな。と、しぶしぶアメリカに税金を支払う必要は・・・ありません。というか、そもそもアメリカからそんな通知書が届くことはないんですね。

でも、れっきとした課税ルールがあるのに、アメリカに税金を納める必要がないとは、これ如何に?

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国と国の約束によってそうなっている

課税ルールではそうなっているのにアメリカに税金を払わなくていい理由。それは───約束をしているから。約束? そう約束。日本とアメリカが約束をしています。

短期間の滞在なら、その間の相手国での収入は、お互いなかったことにしよう。日本人がアメリカで稼いだ収入に課税しないのなら、アメリカ人が日本で稼いだ収入にも税金かけないよ。国と国との約束なので、条約ということになります。すなわち、日米租税条約の短期滞在者免税によって、あなたはアメリカに税金を納める必要はないというわけ。条約は国内課税ルールに優先するのです。これで二重課税はおきません。めでたし。めでたし。

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ということで、もしアメリカから納税の通知が来たとしたら───それは内部事情に詳しい者の手による架空請求(?)ですのでご注意を。



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