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離婚の財産分与ではあげたほうに税金がかかる。理由は───、の巻

町田の税理士 高橋浩之 です。


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離婚の財産分与で税金がかかる

税金の世界には、びっくりするような意表をつく決まり(?)があります。その最たるものが、離婚のときの財産分与の扱い。

夫婦が離婚し、夫が妻へ財産分与として、自宅を妻名義にしました。このとき、税金がかかります。誰に? 夫に。・・・間違いではありませんよ。自宅をもらった妻にではなく、自宅をあげた夫に税金がかかるのです。かかる税金は譲渡所得税。

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*夫から妻へ財産分与があれば、なんと! 夫に対して譲渡所得税がかかる。

譲渡所得税とは、土地建物などを売ったときにかかる税金です。それがかかります。夫は何も売っていません。たしかに自宅を妻名義に変更しました。でも、売ったわけではない。お金が入っていないのに、なぜ税金がかかる? むしろ自宅をあげて損したわけだから税金で控除してもらいたいくらいだ。こう考えるのはおかしくないですよね。

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所有者が変わったから税金がかかる(?)

税金の世界に、伝統的な考え方があります。それは、所有者が変わったときにそれを契機として税金をかけるというもの。税金をかけるのは、元の所有者に対してです。

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*まさにこのとき、元の所有者に税金がかかる!

所有者が変わるというのは、モノが移転するということ。モノが移転したときに、そのモノの価値の増加分(手に入れたときから手放すときまでの値上がり益)に税金をかける。これが本来の考え方。

ですから、譲渡所得税は、モノを売ってお金が入ってきたから税金にかかるわけではなく "モノが移転したから" 税金がかかるということなんですね。

離婚の財産分与でも同じこと。自宅が妻のもとに移転したから税金がかかる。お金をもらっているかどうかは、この際関係ない!

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こんな税金の理屈はどうでもいいことですかね。理屈はどうでもよくても、離婚によって財産分与があれば、それをしたほうに税金がかかるのは事実です。離婚で財産分与を検討中(?)のかたは、ぜひこのような決まりがあることをお忘れなく。

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