社長のためのじょりじょりわかる!税理士ブログ

ややこしいことを、ややこしくなく

知恵のあるサル(空き家の特別控除には期限がある)、の巻

町田市の税理士 高橋浩之 です。


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空き家の特別控除には期限がある!

社会問題になっていいる空き家問題。税制面でも空き家対策があります。相続した空き家を売ったときの3,000万円の特別控除というのがそれです。売却で得た利益から、特別控除として最高3,000万円を差し引ける。差し引いた後に税金がかかるというものです。

だだし、それには価格要件があります。売り値(固定資産税の精算金があるときはそれを含めたところ)が1億円を超えたらダメ。ジャスト1億円までならOKです。

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でも、それ以外にも要件はあるようで。


前号のあらすじ──相続した空き家を売ろうとしたキツネとタヌキ。ふたりとも、欲をかいて値上げ交渉をしたせいで、せっかくの特別控除をフイにしてしまったのであった──

さて、
ふたりのことを見ていたのが、近所の空き家を売ろうと目論(もくろ)んでいるサルである。「なるほど、売り値は、固定資産税の精算金を合わせて1億円ジャストがベストなわけだ」
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サルはふたりの失敗から知恵を授かったのであった。値上げ交渉は難航した。しかし、サルは粘り強かった。時間をかけて、話し合いの場を持ち、協議に次ぐ協議・折衝を重ね、ネゴシエーションをし、掛け合った。

ようやく固定資産税の精算金を合わせて、1億円ぴったりで売却が決定。よしよし、これで3,000万円控除が受けられるわい。税金の支払いまで考えたら、手もとに残るお金が最も多くなる金額で売れた! サルは、自らの知恵に酔ったのであった・・・。

ところが、確定申告のとき、受けられるとおもっていた空き家の3,000万円控除が受けられなかったのである。理由は時間。サルは時間をかけ過ぎた。この控除は、相続してから3年を経過する年の年末までに売らなければならないのだ!

最初の価格提示を受け入れていればよかったものを・・・、交渉に時間かけたせいで大きな控除が受けられなくなってしまった。

せっかくの特別控除が泡と消え、逆に税金は増加。手もとに残るお金は数百万円減ってしまいまいしたとさ。
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(問い)この寓話で作者がいちばん伝えたかったことは何か。答えなさい。

① 時間をかければ必ず最善の結果が得られるとは限らない。
② 空き家の特別控除は、相続から3年後の年末までに売らなければ適用はない。
③ 一見利口だが、肝心のところが抜けていることを猿知恵という。

(答え)
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交渉じょうずなキツネと欲の深いタヌキ、の巻

町田市の税理士 高橋浩之 です。


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相続した空き家を売ったときは、3,000万円の特別控除がある

空き家が社会問題になっています。景観や治安のこと、さらには倒壊などの危険性も指摘され、空き家に対していろいろな対策ができています。

税制面でも空き家対策があります。相続した空き家を売ったときの3,000万円の特別控除というのがそれです。売った値段からいろいろ差し引いたあとに特別控除として最高3,000万円まで差し引ける。差し引いた後に税金がかかるというわけです。

でも、それには要件があるようでして。

◆交渉上手なキツネ◆
キツネが、相続した空き家を売ることになった。場所は都会の一等地。不動産屋から提示された価格は9,980万円である。キツネはおもった。「交渉して、大台を超えてやれ!」持ち前の交渉力を発揮して、合意した価格は1億と100万円。大いに満足のはずが・・・。
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なんと、確定申告のとき、受けられるとおもっていた空き家の3,000万円控除が受けられなかったのである。理由は、売り値。その控除は、売り値が1億円を超えると受けられないという要件があったのだ!

最初の価格なら受けられたものを・・・、交渉のせいで大きな控除をフイにしてしまった。

◆欲の深いタヌキ◆
そのようすを見ていたのは、隣に空き家を持つ欲深タヌキである。
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「なるほど、空き家の3,000万円控除は、売り値が1億円を超えるとダメなんだな」欲深タヌキはゴネた。一歩も引かずに。でも、1億円ぴったりで交渉終了。これで、3,000万円控除が受けられる。めでたし、めでたし、のはずが・・・。

なんと、確定申告のとき、受けられるとおもっていた空き家の3,000万円控除が受けられなかったのである。理由は、固定資産税の精算金。固定資産税の精算金は売り値とされる。固定資産税の精算金を足すと、1億円を超えてしまう!

最初の価格なら固定資産税の精算金を足しても大丈夫だったものを・・・欲をかいたせいで、大きな控除を逸してしまった。

──キツネとタヌキ。なにもしなければ、すんなり空き家の3,000万円控除が受けられた。でも、交渉などしたばかりに、特別控除は泡と消え、逆に増えたのは税金。そのせいで、手もとに残るお金はグッと少なくなってしまいましたとさ。
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税金は、欲張りものに厳しいという教訓でしょうか。いいえ、特例には思わぬ落とし穴があるということをこのお話は教えてくれます。



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その有給休暇は、いつのものか? それが問題だ、の巻

町田市の税理士 高橋浩之 です。



もともとあったリンゴが2つ。3つ買ってきて、翌日見たらひとつ残っていた。さて、残っているリンゴは、もともとあった2つあったうちのひとつでしょうか。それともあたらしく3つ買ってきたうちのひとつ?

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 *残りのひとつは、古いリンゴ? それともあたらしいリンゴ?

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その有給休暇はいつのものか?

税理士が受ける相談は税金についてだけではありません。登記のこと。法律のこと。中でも多いのは、社会保険や人事・労務についての相談です。先日、有給休暇のことについて聞かれました。

有給休暇の未消化分は翌年に繰り越されます。でも、翌々年までは繰り越されない。つまり、繰り越しは1年限り。では、たとえば、有給休暇が前年分10日、今年分11日で計21日ある場合。今年15日有給を消化したとして、さて、残っている6日は、前年分? それとも今年分?

残っている6日が前年分なら、もう繰り越せません。繰り越しは1年限りですからね。でも、今年分なら、残り6日はまだ翌年に繰り越せる。どちらなのか。労使双方にとって重大な局面です。

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順番は法律で決まっていない。だから会社で決めてね

要するにこれは、有給休暇は古いものから使ったことになるのか、新しいものから使ったことになるのかの問題。古いリンゴから食べたのか、新しいリンゴから食べたのかと同じことですね。古いリンゴから食べたのなら、残るのは新しいリンゴです。

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 *イブ「これは古いリンゴだとおもう?それともあたらしいとおもう?」

じつは、法律では決まっていない。これが応えなんですね。だから、会社で自由に決めていい。だたし、会社で決めていないときは、古いものから使っているとみなされるようです。まあ、ふつう(?)は、古いリンゴから順番に食べますからね。


おおっ、そういえば、税金の世界にも繰り越しがあります。赤字の繰り越しです。こちらは、明確に決まっていて、古いものから順番に消化していくことになっています。



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今年(2016年、平成28年)から源泉徴収票が倍の大きさになる、の巻

町田市の税理士 高橋浩之 です。


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ちっちゃな紙、源泉徴収票

給与をもらっている人は、会社から源泉徴収票をもらいますよね。一般的には年末調整をしたあとにもらいます。たまに、「源泉ください」という人がいたり、まれに源泉徴収をいう表記を見ます。でも、正しくは源泉徴収票。

この源泉徴収票の大きさ、イメージつきますよね。ちっちゃい紙です。

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倍の大きさになる。理由はマイナンバー

このちっちゃい源泉徴収票のサイズは、一般的なコピー用紙(⇒A4)の1/4です。それが倍の大きさになるんですね。1/4×2=1/2。源泉徴収票は、A4ふたつ折りの大きさになります。今年(2016年、平成28年)分からです。

どうして倍の大きさになるかというと、理由はマイナンバー。単純に、マイナンバーを記入しなければならなくなったので、用紙をそれに合わせて大きくしたというわけです。さすがに今までのサイズにマイナンバー欄を加えるのは無理がありますからね。もちろん、マイナンバーはあなたの分だけでなく、扶養している配偶者や家族の分も記載されます。

*ただし、マイナンバーは役所に提出する分には記載されますが、あなたがもらう分(⇒受給者交付用)には記載されません。


源泉徴収票をもらって、これはおれの欲しかったものと違う! おれが求めているのはこんな大きさのものじゃないんだ! ←こんなことありませぬよう。全員の源泉徴収票のサイズが倍になりますので。

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*こんなことありませぬよう。全国的にサイズが倍になります。




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一枚の資料、一覧性があるがゆえの欠点。それを乗り越える方法はあるか? の巻

町田市の税理士 高橋浩之 です。


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一覧性のある資料はわかりやすい。でもその一覧性が欠点に(?)

よく、資料は一枚の紙にまとめなさい、なんていいます。一覧性があってわかりやすいですからね。わたしも心がけています。

ところが、説明の資料につかうとき、この一覧性は欠点になるんです。こちらがある箇所の説明をしているのに、聞いているほうはほかのところを熱心に見ている。話している箇所と見ているところが違う。こんなことがおきてしまう。でもそれは仕方ない。一覧性があるんだから。

そんな欠点を乗り越えてでも一覧性は確保したい。そんなとき。一覧性を確保しつつ、説明しているところを見てもらう工夫はできないでしょうかね。それができれば(話しているところ見ているところが一致すれば)、相手に内容がキチンと伝わるはず。どうしたらいいんでしょうか。思いつくのは──、

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一覧性を確保しつつ、同じところをみてもらう工夫

◎ 字は赤くして、上からの赤い下敷きで見えなくする

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⇒伝統的な暗記のための手法。説明に応じて赤い下敷きをズラしてもらう。赤い下敷きがかかっているところは見えないので、目的は果たせるか? でも少々めんどくさい。それに、会社に出す資料に赤字を連想させる赤い字はよくない。却下かな。

◎ 飛び出す絵本方式

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⇒一枚の紙からなぜかタイミングよく別の資料が飛び出す。ムリか。却下ですね。

◎ あぶり出し

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⇒却下。

なかなかいい案はないですねぇ。先日聞いた講演で、こころにのこった言葉に出会いました。「できないヤツは、できない理由をさがすのがうまい」──そりゃそうだ。できない理由をさがし始めたらそれはできなない。いまはいいアイデアがでなくても、できるとおもって試行錯誤しましょうか。

日本の折り紙に魅せられた外国人が、日本に折り紙のことを学びにくるというテレビ番組をみました。折り紙か、折り紙ねぇ・・・。紙の折り方でなんとかなるか? きょうのブログのテーマのヒントになる・・・かな?




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競馬の当たり馬券にかかる税金の計算方法にはふたつある。でも、どちらか好きな方を選べるわけではない、の巻

町田市の税理士 高橋浩之 です。


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当たり馬券、たまたまの人と生業的な人では税金のかかり方が違う

競馬の当たり馬券には税金がかかります。でも、〝思いがけず〟〝たまたま〟当たった人と、研究に研究を重ねて生業的にやっている人。この両者では税金のかかり方が違うのです。

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違いは、はずれ馬券代が引けるか、引けないか

違いは、はずれ馬券代が引けるか、引けないか、です。たまたまの人は、はずれ馬券は引けません。

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*たまたまの人は、はずれ馬券代は引けない。

これに対して、生業的な人は、その年のすべてのはずれ馬券代を引けます。当たったレースに限らず、他のレースのものだって引けるんですね。

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*研究に研究を重ね、独自のソフトウェアを使用して生業的に馬券を買う人は、はずれ馬券が引ける。

そうすると、生業的な人のほうが税金上有利なるのかな。はずれ馬券代がすべて引けるんだから。──ところが、話はそう単純じゃない。

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たまたまの人には、50万円の控除あり

たまたまの人には、はずれ馬券は引けないけれど、一律50万円の控除(*)があります。たまたまの人ならだれでも控除できる。生業的な人にはこれがありません。
*レースごとに50万円の控除があるわけではありません。年間ひとり50万円です。

さらに、たまたまの人の税金対象は、50万円を引いたあとの半分でOK。生業的な人は半分になりません。

ということは、たまたまの人が優遇されているわけ?

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どちらか有利なほうを選べるわけではない

制度的に優遇されているのは、たまたまの人です。でも、どちらが税金が少なくなるかは、ケースバイケース。

年間の当たり馬券の金額、はずれ馬券代。それらを考えにいれないと、どちらの税金が多いか少ないかはわからないんですね。

あっ、もちろん、これはどちらかを好きに選べるのではありません。たまたまの人はたまたまの人用の計算で、生業的な人は生業的な人用の計算で。これが大大原則。有利なほうを選べるなどとカン違いをなさらぬよう。



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競馬は趣味でやっているかどうかによって税金が違う、の巻

町田市の税理士 高橋浩之 です。



最近の新聞報道から。某市の職員が競馬の当たり馬券を申告していなかったとして、国税局から告発されました。当たり馬券に税金がかかるのは、もう常識ってことでいいですかね。

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所得は人をみる

当たり馬券には税金がかかります。でも、競馬で同じだけ儲けたとしても、人によって税金の額が違うことがあるんですね。なぜか? 税金は所得にかかります。でも、当たり馬券の場合、人によって所得の計算方法が違う。所得は人をみる(?)のです。で、結果として税金の額が違うことがあるというわけ。

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趣味で競馬をやる人

たとえば、あなたが趣味で競馬をやっているとき。このときは、当たり馬券は一時所得という分類になります。〝思いがけず〟〝たまたま〟これが一時所得なるキーワードです。

一時所得になると、当たり馬券から引けるのは、そのレースで買った馬券代だけ。他のレースのはずれ馬券は引けません。

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生業的に競馬をやる人

ところが、あなたが趣味ではなく、競馬を生業(なりわい)的にやっているとき。経済活動として(!)やっているとき。儲けるために反復的に馬券を買っているとき。つまり、〝思いがけず〟〝たまたま〟こういったニュアンスはないとき。このようなとき、当たり馬券は雑所得という分類になります。

雑所得になると、当たり馬券からは、その年に買った馬券代をすべて引くことができる。当たったレースの分だけでなく、他のレースのはずれ馬券も引ける!

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つまり、はずれ馬券代は必ず控除できるわけではない

両者の違いは、はずれ馬券代が引けるか、引けないか。

●思いがけず、たまたま➡一時所得➡はずれ馬券代が引けない
●生業的にやっている➡雑所得➡はずれ馬券代が引ける

話題になった裁判の影響もあってか、「はずれ馬券代は控除できる」そこだけがクローズアップされているような気がします。でも、必ず引けるわけではない。どのような姿勢で競馬をやっているかによって違ってきます。ご注意を!

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 *見た目は同じ。でも、趣味の人と生業的な人とでは税金では違いがある!


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