ふたりの会社は赤字。均等割りは支払う。でも、本店をケイマン諸島に移すほどのことは無し、の巻
町田市の税理士 高橋浩之です。
ふたりの会社は赤字。均等割りは支払う。でも、本店をケイマン諸島に移すほどのことは無し
むかし、むかし、ある里におじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山へ芝刈りに。
おばあさんは川へ洗濯に。
ふたり仲良く暮らしていました。
*ある里におじいさんとおばあさんが住んでしていました。
おばあさんは、近所の人から洗濯物を預かり、洗濯の代行業を始めました。
*おばあさんは洗濯の代行業を始めました。
そこそこの収入になってきたので、ふたりは会社をつくりました。
仕事をするのは、おばあさんですが、おじいさんが代表者です。
ある日のこと。
おじいさんとおばあさんの住む里に、アメリカの敏腕コンサルタント、ジョンが立ち寄りました。
*敏腕コンサルタントのジョン
ふたりが会社を持っていることを知ると、ジョンは興味深々で聞いてきました。
「その年で社長もたいへんだろ?」
「ボケ防止みたいなもんだ」
「日本の法人税の税率はどの位なんだい?」
「税理士さんからもらった税率表がここにある」
「どれどれ、・・・な、なんだって!?」
税率表を見たジョンは、信じられないといった様子で、
「そんな高い税率とは! クレイジーだ! そんなに税金払うなんて。オー、マイガッ」
頭をかかえていたジョンは、それでも気を取り直して、
「よし、いいことを教えよう。節税の方法だ。タックスヘイブンを使うんだ。税率の低い国、そうだな。ケイマン諸島がいい! 本店をケイマン諸島に移す。そこに利益を集中させるんだ」
「実効税率はひとケタ台まで落ちる。税金を極限まで減らすことができるぞ」
「もちろん、脱税じゃない。合法的な節税スキームだ!」
「おっと、肝心なことを聞くのを忘れてた。じいさんの会社は、毎年、どのくらいの税金を払っているんだ? 数千万円か? それとも数億か?」
「7万じゃな」
「7万?えっ?あ、うん、そ、そう、そうか。そうか。うん、ドル換算したんだな。ハッハッハッ、7万ドルか。7万ドルだよな」
「7万ドルだと、最初の2、3年の節税効果はわたしのコンサルタントフィーで吹っ飛ぶが・・・。でもまあ節税効果は毎年だし。ノープロブレムだ。OK、話を続けよう」
「7万円」
「この節税スキームでは・・・、ん?いまなんつった?」
「うちは赤字だから、払うのは均等割りの7万円じゃ」
「1日あたりか?」
「1年間に」
「じぇじぇじぇ。なんてこった! ガッデム! 完璧な節税スキームを練り上げられそうだったのに。肝心の会社が赤字会社じゃしょうがないじゃないか。払ってるのは年間7万円の均等割りだけとは。オ~、マイガッ!」
「あれま、ジョンさん。急に帰り支度はじめてどうしたの。自家製の野沢菜だよ。お茶くらいあがっておいき。お茶くらいあがっておいきよ~」
■この寓話で伝えたかったこと■
均等割り(最低7万円)は、赤字であろうが、黒字であろうが支払うのです。
*最後にひと言つけ加えるジョン
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